2012年1月15日 板橋区アクトホール写し絵公演

この度は写し絵との共演でした
公演は東京都あきる野市で写し絵の公演を行っている現代影絵プロジェクトとの共演でした。
ここで少し写し絵の事をお話ししたい。
写し絵と言うと「なんだろう?」と思う方も多いと思う。分かりやすい言い方をすると幻灯影絵。幻灯機を使って絵を映し出す芸能だ。
だが普通芸能といえば演じなければならない。映し出すだけなら芸能では無い。
だが写し絵は画期的な仕掛けが造られており、仕掛けで動かすことにより、映し出されたキャラクターを動かす事が出来る。それにより演じる事が出来る。
開発されたのは江戸中期から後期とされている。当時は大変はやったものだったが、時代の波には逆らえず、昭和初期にはほぼ無くなってしまった芸能である。
説経節はこの写し絵とは縁が深く、昔からセットで語られていた。

この度の公演はそんな昔ならがの公演を再現したものだった。
公演の内容は写し絵を演じた現代影絵プロジェクトのサイトを見ると良くわかるので、下記サイトへ行ってみると良くわかると思う。

http://www.utsushie.org

ここではあえて説経から見た公演を説明したい。
写し絵と言うのは、説経が主となり進めて行く説経よりの芸能である。
絵により説経の描写が補足としてリアルに入って来るので、子供でもある程度理解する事が可能だと思われるが、説経のように残酷な場面などがある演目では大分リアルに表現されてしまう場合もある。
今回の演目は小栗判官矢取りの段との事で、今で言うヒーロー的なお話しでしたので講演にはとても良い演目でした。
この演目の見所といえば、やはり矢取りのシーンである。
判官が、本当の息子だと証明する為に、家に代々伝わる矢取りの秘術を親に披露する場面である。
写し絵にしても一番盛り上がる場面で、仕掛けにより次々と3本の矢を取る場面で、写し絵を演じる方も緊張する一幕であるが、この場面が盛り上がるのも、矢取りのシーンが来るまでの親子の心情変化があればこその名シーンである。
親子の会話から聞いてとれる心の描写であり、母親は既に死んだとばかり思っていた息子が突然あらわれ息子と信じたいが信じきれない、そんなシーンが最後を盛り上げる。
若太夫が判官と御代(母親)を声色を変えて演じる場面は、矢取りの段の裏名シーンであると思う。
聞き手はすんなりと語られる言葉を聞いて感情移入しているので分からないと思うが、少し説経を習った者であれば、とても難しい場面である事が分かる。
男と女、息子と母親の感情を表現するのだ。
公演に来られていた方たちもこのシーンに聞き入った事だろうと思う。

そして無事公演もクライマックスを演じ終演となったが、考えさせられる演目でした。
サビの利いた三味線、感情を込めた唄。
何年かかったら演じられるだろうか。。。

そんな事を考えた演目でした。
会場の皆さんは何を感じて帰路についたのでしょうか。
人夫々感じる事があったと思います。
やはり説経は深いですね。

Leave a comment

Your comment