2010年11月6日 若松若太夫 独演会

今日は独演会に行ってまいりました。午前中仕事をしてからの出発だったので、開演時間に間に合うかどうか心配でしたが、高速がすいていたので30分前に到着出来た。
前回の温故学会での公演では若松会のお手伝いは2人のみでしたが、今回は十数人が出動してにぎやかでした。到着してすぐに皆さんに親切にして頂き、お弁当まで頂いた。いつもながら本当に暖かい会だと思いました。

先生(若太夫)にご挨拶をし、その後若松由太夫師を紹介していただき、初めて言葉を交わしました。この方は2代目の甥に当たる先生で、2代目同様やはり目がご不自由である。
時間になり由太夫師の説経がはじまった。
ご高齢であるが、張りのある大きな声でした。

お題目は山椒大夫。山椒大夫とは森鴎外が出版した、安寿と厨子王の原作であります。森鴎外が悪く言えば盗作した事になります。(最初に説明がありました)
今回は別れ別れになった母親と厨子王が対面するという所。出世をした厨子王が母を訪ねて来ますが、売られてしまった母親は子供たちに散々いじめられたせいで、厨子王が本当の息子だと信じません。しかしお守りを差し出すことにより本当の息子だとわかるのです。本当に泣けますね。そもそもこの親子が何故このような運命をたどったのかと言うと、父親がお上の怒りに触れて遠くえ追いやられます。ですが厨子王がどうしても会いたいと父親を尋ねて家族で旅を始めることから悲劇が始まるのです。犯罪者の家族と言うことで何処の宿場でも宿を取れず、人買いに言葉巧みに連れ去られるのです。
最後の方になると本当に泣けて来ました。由太夫師も感情が言葉に乗って聞いている方も感じ入られました。
由太夫師が終わり、いよいよ若太夫師が登場。

最初は小栗判官車引きの段。照手姫が数日のお暇をもらって餓鬼あみとなった判官を車に乗せて引いて行く有名なシーンです。お暇をもらう為に主人に照手姫が言葉巧みに説得します。私はこのシーンが一番印象的で、買われて来たにもかかわらず、説得してお休みをもらうなど現代で営業マンをやったらかなり稼ぎそうな照手姫の場面を想像していると、いつの時代も女性はたくましいと思ってしまいます。
今日はこれに引き続き矢取りの段も休憩を挟み聞く事が出来た。
矢取りの段は、一度死んだ判官が実家に修験者となって帰って来ます。そして疑っている父親に、代々お家に伝わっている矢取りの手練を見せて親子の対面となります。
考えてみると小栗判官は主役級の人物が誰も死んでないな?以外とハッピーエンドです。最後まで聞いて晴れ晴れする演目なのです。だから昔から人気があったのかもしれませんね。最初から最後までの段を足すと30段ぐらいあるそうですが、若松派にも20数段しか残っていないみたいです。とにかくボリュームのある2時間半でした。
最後に両師が挨拶をして終わりました。

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