2016年3月13日秩父人形サミット2016in横瀬――若太夫日記

3月13日、「第5回秩父人形サミット2016in横瀬」が埼玉県秩父郡の横瀬町民会館で、行われました。 「白久の串人形芝居」「出牛人形人形浄瑠璃」「横瀬の人形芝居」の3つの人形芝居が秩父にはありますが、それが一同に会するのがこのサミットです。 私は白久の串人形芝居の地方(じかた)を長年務めていますので、今回も「御所櫻堀川夜討の弁慶上使」を語らせていただくこととなり、試行錯誤を続けました。

今回字幕をスクリーンに写す試みもあるので、語りの詞章の突合せと、現代語訳の検討もしてみました。 ご存じの通りこれは義太夫の名高い演目なので、久しぶりに、豊竹山城少掾師匠のCDを出して、よ~く聴きました。 さすが山城師匠の語りは弁慶の位取りといい、おわさのクドキといい、緻密に計算された語りの数々が次から次へと繰り出される、素晴らしいものなんです。 なんとなく私も山城師匠的な気分で詞の言い回しなど稽古をしましたが、フシにかかると説経でやらなければならない、説経のフシは比較的軽妙なのでバランスがなかなか難しいのです。

それはさておき、当日リハーサルも済んで、本番になります。緞帳が開いて、物語が進みます。語り出すとともに人形の演技が始まります。 弁慶は頼朝から謀反の疑いをかけられている卿の君(義経の細君)の身代わりに腰元の志のぶを手にかけます。 しかしそれは弁慶とおわさとの間にできた子、つまり弁慶の実の娘だったのです。

とうとう弁慶は自分の下着の振袖を出して、十七年前に仮寝の契りを交わしたおわさと名乗り合う場面、そのいい場面でナント3の糸が切れてしまったのです! こういう時に弾き語りは困ったもので何とか糸を繋ぎましたが、その間シラーッとしてしまいました。からくも語りおさめましたが、たくさんのお客さんや人形座の皆さんに大変なご迷惑をおかけしたのはいうまでもありません。大変申し訳ございませんでした。 あまりしくじりばかり続くとこの日記も「若太夫のシクジリ日記」と改名するようになるかもしれません・・・。 次のページ‼に希望をつないで、前回同様ひたすら反省の日々を送る今日この頃です。

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