2016年8月1~2日 清泉女子大学「日本芸能文化」講義――若太夫日記

8月1日、2日の2日にわたりまして、五反田にあります清泉女子大学の正規の授業「日本芸能文化」に出演させていただきました。

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この女子大には旧知の秋本吉徳先生が教鞭をとっておられ、長年先生と温めてきた説経節を題材とした授業が実現することとなりました。午前の1限から午後の3限までの4コマ90分の授業を2日間行うので大変ボリュームがあります。授業を受ける生徒さんも70~80名でした。
1日目の一番初めに、ご挨拶代わりに私が「御祝儀宝の入船」を語りましたが、生徒のみなさんは皆キョトンとしていました。

「語り物芸能史」ということで説経の歴史について、秋本先生が授業を進めました。
芸能は保存のみを目的として博物館に入るものではない、大衆の支持を得るために時代とともに変わっていくものということを、説経節を例に取りお話しされました。その後には秋本先生と先代若太夫との出会い、ぐっと時代をさかのぼり説経の起源から江戸時代までの歴史についての説明、明治以降各界の名士の庇護を受け、説経節を大成させた初代若松若太夫のお話が続きました。

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おととしの関東ブロック民俗芸能大会での八王子車人形と私との共演「日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)」の映像を皆さんに見ていただき、その後に「さんせう太夫」を一段語り一日目は終わりとなりました。

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2日目は昨日の授業の最後に生徒さんからいただいた質問にお答えしました。
1日目が終わる頃には皆さん説経節のことについて興味や関心がわいたようで、たくさんの質問をいただきました。そのあとに希望する生徒の皆さんに三味線を弾く体験をしていただき、昔の台本やジュラルミン製の三味線の部品など若松に伝わる資料を見ていただきました。
三味線の指導はおいでいただいた秩父横瀬町の佐野敦子さんにお手伝いいただきました。
青木久子さんにもおいでいただき秋本先生と私の3人で失明した先代が青木さんの力を借りて一旦止めていた説経節を再び語りだす復活劇を語る鼎談をいたしました。それを受けて晩年の先代の「日高川入相花王」の映像も見ていただきました。

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最後に「石童丸」をノーカットで最後の「衣掛けの段」まで語りましたが、約70分かかりました。長い説経節になりましたが、生徒さんは最後までよく聴いて下さいました。

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2日間にわたる授業でしたが、生徒さんも説経節への知識が積み重なるにつれ、理解が深まり、次第に説経節を聴くことにも慣れてきたようです。若い人でも説経に関する知識があれば、十分に説経節を楽しんでいただけるという確信を得ました。清泉女子大学の秋本先生、佐伯先生、姫野先生、諸先生方には大変お世話になりました。ありがとうございました。

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